調停又は審判で、面接交渉について取り決めをしたのに、相手方が子供の精神状態に悪いなどと言い訳をし、面接交渉を拒んでいる場合、どのような方法で面接交渉を実現させることができるのでしょうか。

まず、家庭裁判所に履行勧告を求めるという方法があります。しかし、履行勧告には強制力がないため、相手方が履行勧告を無視してしまえば、子供との面接交渉は結局実現できません。

 強制的に面接交渉を実現する方法としては、間接強制という強制執行の申立てをするという方法があります。間接強制というのは、一定の日時までに債務の履行をするように求めて、履行がなされない時には一定額の金銭の支払いをせよと命じるものです。このようにして、相手方を心理的に圧迫して履行するように仕向けるのです。

 この点、注意しなければならないのは、面接交渉について記載のあるどんな調停調書又は審判書でも間接強制が可能という訳ではないということです。調停調書又は審判書には、面接交渉権の行使方法が具体的に定められていなければなりません。

 例えば、裁判例によりますと、調停調書等に面接交渉を実施するにあたって「当事者は、具体的日時、場所、方法について、事前に協議しなければならない」と記載されている場合には、面接交渉をする具体的日時、場所、方法(一回あたりの時間、開始時刻・終了時刻、子らの引き取り、引き渡しの場所、宿泊を伴うか否か)など面接交渉を実施するために決定しておくことが必要な事項の詳細は特定されていないとして、当該調停調書等では強制執行をすることができないとされています。

 そこで、後に間接強制によって面接交渉を実現することを考えて調停調書等を作成してもらうのであれば、面接交渉の権利者、義務者、子、面接交渉の時期及び一定期間内における面接交渉を行うべき回数・頻度、面接交渉の場所、1回あたりの面接交渉の時間(開始時刻及び終了時刻)、面接日時、場所の指定、子の引き渡しの方法、等について具体的に特定して定めなければなりません。

 これを一部具体的に表してみますと、例えば、回数については毎月一回、時間については毎月第1日曜日の午前10時から午後2時まで(ただし、未成年者らの病状等で、上記日時に面接交渉できない場合には、翌週の日曜日に実施するものとする。)というようにするのです。