夫婦の仲が悪くなり、未成年者である子供を連れて相手方である夫と別居をしたとします。相手方が子供に会いたいと言ってきた場合、会わせる必要があるのでしょうか。

 まだ、離婚していない状態では、夫婦ともに未成年者の共同親権者であることに変わりありません。そうだとすると、共同親権者の一人である相手方は、当然に子供と会って触れ合うことができるはずです。

 ところが、夫婦の仲が悪くなって破綻しているような場合、破綻の原因にもよりますが、子供を相手方に会わせたくないと思う場合も多々あるでしょう。このような場合、話し合いで子供に会わせる回数や日時等を決められることができればよいのですが、決めることができない場合、相手方は、家庭裁判所に面接交渉の調停又は審判の申立てをしてくるかもしれません。

 面接交渉とは、実際に子供を養育していない方の親が、子供と会う等して交流することです。現在の法律では、面接交渉権の根拠は「子の監護について必要な事項」(民法766条1項)に求められますが、これ以上に明確には規定されていません。

 しかし、親が子供の成長していく姿を見届けていくことは、子供の健全な成長にとっても大切であると考えられており、裁判例でも認められています。法律の条文からすれば、離婚の場合に、家庭裁判所が面接交渉について定めることが認められているように思えますが、別居状態にある父母の間でも協議が整わない場合に「面接交渉について相当な処分を命ずることができる」(最決平成12年5月1日民集54巻5号1607頁)としています。

 家庭裁判所では、審判を申し立てた場合でも、まず調停手続きで協議がなされます。そして、多くの場合には家庭裁判所調査官という人が手続きに関与して、試行的に面接交渉の場を設けたり、家庭訪問をしたりして、面接交渉のときの子供の状況等について調査をします。

 これによって、お互いに面接交渉について合意ができればよいのですが、それでも合意ができない場合、審判に移行して、お互いの主張及び家庭裁判所調査官の意見もふまえたうえで、審判が下されることになります。

 家庭裁判所が子供との面接交渉を認めるか否かは、子供の福祉に合致するか否かというところで判断しています。この、子供の福祉というのは、具体的にどのうようなことなのか、次回お話したいと思います。