梅雨、ですねえ。早く明けて欲しいものです。

 この前、やはり雨の日に、とある調停が終わりました。その調停は親権と養育費が主な争点でしたが、もめたのが養育費でした。

 養育費とは、未成熟の子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用のことです。

 では、「未成熟の子が社会人として独立自活ができる」とはどのような状態でしょうか。

 基本的に、20歳になれば、民法上、自由に自分で経済活動をすることができるようになるので、独立して自活することができます。そのため、20歳になれば、「社会人として独立自活ができる」と考えられており、一般的には、養育費も20歳までとされます。

 ただ、最近は、大学に進学する人も多く、そのような場合、20歳になったとしても、アルバイトばかりして過ごすわけにもいかないので、「社会人として独立自活」するのは難しいですよね。

 そこで、大学進学の場合を想定して、子どもが満22歳に達した月の最初の3月まで(つまり、大学4年の3月まで)養育費を支払うというように夫婦間で取り決めることもあります。調停でも、親の学歴などを考慮して、子どもも大学に進学するだろうと考えられるときには、養育費を20歳までとせず、22歳までとすることがあります。

 ですから、夫婦二人とも大学を卒業しているような方は、22歳まで養育費を払ってください、と夫に求めても決して求めすぎではありません。

 また、夫婦二人とも中卒だとか高卒だとかいう場合でも、最近の大学進学率の伸びを考えれば、子どもが大学に進学する可能性は十分あるわけですから、「22歳まで」養育費を払ってくださいと夫に求めても不自然ではありません。仮に夫が「どうせ僕たちと同じような学歴になるよ。」と言って20歳までしか養育費を支払わないと主張しても、例えば、「未成年者(子ども)が大学に進学する場合は」と条件を付けて、22歳まで養育費を支払うよう求めてもよいでしょう。

 離婚調停では、親権さえ取れれば養育費は譲歩してもよい、という方が散見されますが、やはり、養育費は少しでも多いに越したことはありません。子どものためと思って、貪欲になってもよいのではないでしょうか。

 冒頭に話した調停では、依頼者の方がとても子育てを頑張っていたので、私は、慰謝料はもらえなくてもせめて養育費は少しでも多くもらって欲しいと思ってねばりにねばりました。でも、結局、夫の意思が強硬で、当初夫が提示した額を上回る額での調停はなりませんでした。

 私は残念でしたが、依頼者の方は、離婚が成立し親権が取れたということで、これで子どもにいい知らせができると、ほっと笑顔を見せてくれました。養育費は増額できなかったけれど、梅雨が晴れたような、なんだかさわやかな気分で終われた調停でした。