こんにちは。本日は、財産分与の際に問題となる「寄与度」についてお話しします。

 まず、財産分与は、基本的には、夫婦双方の有しているプラス財産(価値のある財産)とマイナス財産(借金など)をすべて合算して、それを二人で分けるというものです。

 そのときの分与の割合は、特段の事情がない限り、2分の1ずつとされています。夫婦は基本的に、夫婦の財産形成に貢献する度合(寄与度)は同じくらいだという事です。これは、一方が外で働いて給料を稼ぎ、他方が専業主婦というケースでも同じです。

 特段の事情というのは、例えば、配偶者の一方がプロ野球選手などの特殊技能によって高額の所得を得ているようなケースが考えられます。しかし、この特段の事情が認められるケースはまれであり、仮に特段の事情が認められたとしても、その分与の割合が2分の1から大きく外れるものではありません。

 たまに、一方配偶者が、自分が負担した生活費を事細かに分析して、「自分の方が、寄与度(夫婦の財産形成に貢献した度合)がはるかに大きい。だから分与の割合は、7:3にすべきだ。」などと主張する場合があります。しかし、せっかく細かな計算をしても、それだけであれば、裁判所は、「分与割合は2分の1」と判断します。結局、せっかくの細かい計算が徒労に終わるケースが多いです。

 ただ、夫婦で購入した住宅などについては、この「寄与度」が1:1ではなく、例えば、7:3となることもあります。

 どのようなことかというと、購入にあたり、一方配偶者の親類などが多額の頭金を出してくれたというようなケースです。頭金以外の部分は、夫婦が協力して得た財産ですから、この部分については、通常、夫婦の寄与度は1:1となります。しかし、多額の頭金は、その夫婦の一方の「特有財産(夫婦で協力して得た財産ではない)」となります。そうすると、その住宅の購入価格のうちの特有財産部分の割合が、当該一方配偶者の「寄与度」に加算されると考えられています。このようにして、住宅を得るにあたっての夫婦の寄与度が1:1ではなくなります。

 「寄与度」という言葉は、本来的には、夫婦の財産形成に各配偶者がどれだけ貢献したかということです。しかし、「特有財産」という夫婦の貢献度に関係ないものまで、「寄与度」という言葉で表すこともあり、両者の区別が必要です。