1 はじめに

 今回は、離婚が成立した後に、それまで夫Aさんを世帯主として、妻Bさんが国民健康保険の被保険者として保険証に記載されていた場合や、健康保険でBさんが被扶養者である場合に、新たな医療保険に変更する手続きについてお話しさせていただきます。

2 国民健康保険から国民健康保険に変更する場合

 Bさんが新たに国民健康保険に加入するにあたり、転入届、転居届、転出届等の届出があった場合には、その届出と同一事由に基づく資格の取得・喪失の届出があったものとみなされます(国民健康保険法9条14項)。

 したがって、Bさんが市町村役場に転入・転出届を出す際に、国民健康保険に加入することができます。この場合、国民健康保険の間での移動であり、資格の喪失は明らかですから、資格喪失証明書は不要です。

3 国民健康保険から健康保険へ変更する場合

 この場合は、Bさんが健康保険加入の資格を有しているかのみが問題となります。そして、この場合にも、資格喪失証明書は不要です。なぜなら、健康保険は、民間企業で働く一般労働者を対象とする医療保険ですから、国民健康保険のように、他の医療保険に加入していない者を対象にする医療保険ではないからです。

4 健康保険から国民健康保険に変更する場合

 Bさんが国民健康保険に加入する場合は、国民健康保険が他の保険に加入していない者を対象とすることから、資格喪失証明書を取得する必要があります。

5 健康保険から健康保険へ変更する場合

 この場合は、3と同様、Bさんが健康保険加入の資格を有しているか否かだけの問題となりますので、資格喪失証明書は不要です。

6 まとめ

 以上から、Bさんが新たな医療保険に加入する場合に、資格喪失証明書を取得しなければならないのは、4の健康保険から国民健康保険に変更する場合ということになります。また、健康保険に加入する場合は、資格喪失証明書は不要ですが、健康保険加入の資格があるかどうかが問題になるということになります。