前回は、早期に離婚成立までこぎつけるなら、相手との間で不要な対立を生み出さないように気を付けるべきと考えられるということを、ざっと述べるところまで書きました。
 (前回の記事はこちら:別居から離婚1

 今回からは、その具体的内容に立ち入ろうと思います。別居から離婚への段取りは、大まかに言って次のようになるのではないかと考えられます。

① 離婚までの準備段階
② 別居準備のための具体的な行動の開始
③ 別居の実行
④ 離婚調停、訴訟の申立及び遂行(調停申立ては③に先行する場合もありうる。)

今回の内容は、上記の①の部分、別居から離婚への具体的行動を起こす前に何を行っておくと良いと考えられるかということです。

 前回の内容の続きとなりますが、早期の離婚成立のため最も重要と思われるのは、相手がなるべく早期に合意に応じてくれるよう環境調整を行うこと、つまり不要な対立を生み出さないことです。

 対立を招きかねない点は、2点に分かれるのではないかと考えられます。1点は、別居それ自体、つまり別居により自分が拒否されたことへの感情的な反発です。これは、別居を行い、併せて離婚手続きに入るという選択を行った以上、不可避と思われます。もう1点は、別居側の要求に対する反発です。こちらは、離婚等譲れないものはありますが、別居を行った側が要求を厳選し、また要求にしっかりと優先順位をつけることで軽減することが可能であると思われます。

 すなわち、まずは自分の中で離婚に際しての要求を整理することから始めるべきだろうと思われます。離婚は無論のこととしても、子どもがいる場合には親権を求めるのか、親権を求めるのであれば養育費の支払いも求めるのか、その場合に養育費の額はどのくらいか、財産分与は求めるのか、慰謝料は求めるのかなど、きちんと決めておくべきでしょう。また、要求することとした項目についても、それが後に対立を生じさせた場合には、時間的コストをかけても要求を貫くのか、或いは時間をかけてまでも求めることはしないのか、それも決めておいた方がよいと思われます。

 なんにしても、一度別居を決行してしまうと、時間を止めてゆっくりと検討することは難しくなります。別居を行う前は、時間をとって計画を練る最後の機会ともなります。

 自分の希望も十分に把握しないまま、見切り発車で別居を行ったとしても、必要な限度での整理された要求や離婚条件を提示することは難しくなります。本来自分にとってさほど必要でなかった要求まで行ったり、相手の反論を受けた場合の適切な譲歩ラインを予定していなかったりすれば、対立が生じて争いが泥沼化するリスクが上昇する可能性があります。

 別居から離婚調停、訴訟と手続きが動き出した後、極力不要の対立を生じさせず速やかな離婚が実現する可能性を高めるためにも、時間をとることができるうちに計画を立て、要求の整理を行っておくことを勧めます。