今回からしばらく、法律知識やノウハウに触れる内容ではなく、私の雑感とでもいう事柄を書いていこうと思います。

 その雑感が何かと言うと、同じ離婚等の事件でも、トラブルと思っていたものが案外きれいに片付くこともあれば、逆に泥沼化してどうにもならなくなることもあるが、その違いはどこにあるのだろうかということです。

 私もこれまでいくつかの離婚事件に触れてきました。離婚へと至るくらいですから、夫婦仲は相互に、或いは一方的に冷え切っており、弁護士の所へやってくるころには、大概の場合には別居状態となっています。つまり、別居から離婚となる場合が非常に多いと言えます。

 ところで、別居から離婚といっても、大きく2通りのパターンがあるのではないかと私は思います。1つは、ケンカや浮気をきっかけに一方が家を出て行き、別居状態が既成化することでもう夫婦としてよりを戻すことができなくなるパターン、つまり別居が離婚の決断に先行する場合です。もう1つは、何か理由があって一方が離婚を固く決心し、最後に意思表明として別居を行い、併せて離婚のための法的手続きをとるパターン、つまり離婚の決断が別居に先行する場合です。

 私が、今回からしばらく書こうと思うのは、上記のうち後者の方についてです。離婚を決心して別居を行い、そして離婚までの道のりが比較的大きなトラブルなく形成できる場合というのは、どのような特徴があると考えられるのでしょうか。

 離婚の前段階として別居を決めた場合、夫婦の共同関係、協力義務や住み慣れた生活環境を捨てることとなるため、決心は相当固いものと思われます。そのため、別居を行った側は、多くの場合には速やかに離婚成立までこぎつけたいとの希望を有することとなるでしょう。

 一方で、別居の実行は、相手に対し拒絶の意思を表示することともなりますから、家を出て行かれた方の強い感情的反発を招くことも多々あります。

 そのため、双方の感情的な行き違いの処理を誤れば、時としてそれが深刻な感情の対立となり、泥沼の争いへと発展する可能性も考えられます。そうなると、速やかな離婚の成立などは望むべくもありません。

 ここからは、記述の都合上、離婚を求める側として不要な対立を招かず速やかに離婚までこぎつけるためには、どのような点に注意すべきと考えられるかを記載するというスタンスで書いていきます。

 また、冒頭にも記載したとおり、記載内容は私の雑感に基づくものである点はご留意頂きたいと思います。

 さしあたり、別居をする側としては、速やかな離婚の実現のため心がけるべき事柄として、必要以上に相手方の感情を刺激しないように注意するべきであると思われます。無論、別居をする側にはその希望があり、譲れない一線があるのは当然ですが、不要の争いまで招くことは百害あって一利なしです。次回は、この点について考えてみることから始めようと思います。