こんにちは。今日のブログのテーマは、家裁調査官による事実の調査についてです。
離婚訴訟で親権者の指定などの附帯処分等事項について審理がなされる場合、裁判所は家裁調査官に事実の調査をさせることができます(人訴法34Ⅰ)。
ただし、調査はいつでも許されているわけではなく、審理の経過、証拠調べの結果その他の事情を考慮して必要があると認められるときに科学的調査が行われるとされ、さらに裁判所による調査事項の特定が必要とされています(人訴規20Ⅰ、Ⅱ)。
この調査は原則として非公開とされていますが(人訴法33Ⅴ)、審問期日を開いて当事者の陳述を聞くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は立ち会うことができます(人訴法33Ⅳ)。
さらに、事実の調査の要旨は記録され(人訴規23)、当該記録の閲覧等の機会を与えるため、事実の調査をした旨の告知がなされます(人訴規24)。
事実の調査の方法としては、おおよそ以下のようになっています。
⑴ 監護親の監護状況
現時点での監護親の監護状況が子の福祉にかなっているかにつき、監護親や監護補助者に面接をしたり、家庭や学校、保育所に訪問し、子がきちんと養育されているかを調査します。
⑵ 非監護者の受け入れ態勢
非監護者に監護権を認めるべきか否かを判断するため、子が非監護者のもとに移った場合に、十分に養育可能かどうかを調査します。方法としては、監護親の監護状況を調査する場合と同じです。
⑶ 子の意向確認
子が15歳以上の場合には、その子の陳述を聞かなければならないとされています(人訴法32Ⅳ)。但し、10歳程度の子で、その意向を確認した方がよいという場合には、子の意向を確認することもあります。
⑷ 子と監護親、非監護親、他のきょうだいとの交流
子が、監護親、非監護親、他のきょうだいとどのような関係を築けているかを確認するため、子と監護親、非監護親、他のきょうだいとを触れあわせてその時の言動等を見ることもあります。
⑸ 学校等の調査
子が通っている学校、保育園等の先生に調査をすることもあります。これにより、親やきょうだいとは異なる第三者からの客観的な情報を得ることができます。
以上のような調査が家裁調査官によってなされると、家裁調査官は調査報告書を裁判所に提出します。
もちろん、親権者をいずれに指定するかの最終的な判断は裁判官が行いますが、その判断をするうえで、実際にはこの調査報告書はかなり重視されているようです。
したがって、親権を争う場合には、家裁調査官との面接は気を引き締めて臨む必要があります。