こんにちは。雨がつづきますね。体調はいかがでしょうか。
 今日は、慰謝料請求の難しさについてお話します。

 離婚に関連した慰謝料請求には、代表的なものに、配偶者に対するものと、不貞相手に対するものがあります。配偶者に対するものは、離婚の話し合いや訴訟をするときに、一括して請求し、解決してしまうことが多いです。これに対し、不貞相手に対するものは離婚の話とは独立して進めることもできます。夫婦関係が離婚に至っていなくても、家庭の平和を破壊するくらいになっていれば、慰謝料を請求することができます。

 慰謝料の額は、配偶者については、具体的な事情により、さまざまで、1000万円近くなることもあれば、数十万円程度のこともあります。不貞行為やDVなど、はっきりした事情があり、かつ、証拠も固められている場合は、高くなる傾向にあります。不貞相手については、100万円から200万円くらいではないかと思います。

 ここで、慰謝料の相場のようなことを言っていますが、あくまでこれは、訴訟に持って行った時の話です。当然、これ以上の額を請求してはいけないということもないし、逆にこれ以下しか払ってもらえないこともあります。話し合い(交渉や調停)によって解決しようとすれば、訴訟で必要になる面倒な事実認定が省かれ、早期解決が可能となる反面、個々の関係者の具体的事情、経済的事情や感情によって、結論に大きなばらつきが出ます。

 私の経験では、一番早く、かつ金額も相当支払ってもらえたのは、不貞行為の相手方に対して、内容証明を出して数百万円を請求したところ、2週間程度のうちにすぐに支払いがあったものです。しかし、これが特段、証拠が豊富にあったとか、ほかの案件に比べて明らかな不貞行為だったというわけではありません。これは想像ですが、たまたまその不貞相手に、自由になるお金があり、早期に解決したい気持ちがあったのでしょう。不貞行為の回数や期間、証拠の固さからすれば、相手方の資力によっては数10万円での合意でも仕方ないとも考えていた案件でしたから、意外な結果でした。

 また、離婚後の生活がかかっている場合は、深刻で、当事者としては、なかなか判断が難しいです。特に専業主婦が夫に不貞行為をされたり、DVされたりして離婚に至るケースでは、慰謝料の根拠も証拠もある程度はっきりしているので、訴訟に行っても数100万円は認められるだろうと見込まれるのですが、専業主婦ですから、訴訟までやって長期化しても、それまでの生活がもたない、早く慰謝料の額を決めて、支払ってほしいという切実な悩みがあります。この場合は、相手方を許せないという感情と、生活の維持の板挟みにあい、悩みに悩むのですが、いくらがんばっても、相手方も資力があまりないということも関係して、譲歩した額で合意せざるをえない場合もあります。