Q10: 現在、離婚に向けて準備を進めています。最近、離婚した友人から、妻が年金の分割を受けても、妻自身に年金を受給する資格がない場合には、分割された年金を受け取れないという話を聴いたのですが、年金の受給資格について教えて下さい。
A10: 年金の受給資格は、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計が25年以上あることが必要です。
A10-1: 保険料納付済期間とは
国民年金の保険料を満額支払っている期間です。
① 第1号被保険者として、国民年金保険料を納付した期間
② 第2号被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間
③ 第3号被保険者の期間
A10-2: 保険料免除期間とは
国民年金保険料の納付を免除されている期間や、免除申請をして保険料の一部を減額してもらう期間です。
上記の保険料納付済期間と異なり、保険料免除期間の老齢基礎年金は免除された保険料の割合に応じて減額されます。
① 全額免除期間
② 免除の承認を受け減額された保険料を納付した期間
A10-3: 合算対象期間とは
年金の受給資格があるかどうか判定する時には「期間」に含められますが、年金額の計算をするときの被保険者期間に算入されない期間です。カラ期間とも呼ばれます。
以下の期間があります。
(1)昭和61年4月1日以後で
① 日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
② 平成3年3月までの学生(夜間制、通信制を除く)であって、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
③ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満60歳以上の期間
(2)昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間で
① 厚生年金保険、船員保険及び共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
② 被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金受給権者とその配偶者、老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人とその配偶者、障害年金受給権者とその配偶者、遺族年金受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
③ 学生(夜間制、通信制を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
④ 昭和36年4月以降の国会議員であった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)。昭和55年4月以降にあっては国民年金に任意加入しなかった期間
*議員の配偶者も含まれます
⑤ 昭和37年12月以降の地方議員であって国民年金 に加入しなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)*議員の配偶者も含まれます
⑥ 65歳に達する日の前日までに日本国籍を取得した方、又は、永住の許可がされた方の取得・許可前の期間であって昭和56年12月までの在日期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
⑦ 日本人(65歳に達する日の前日までに日本国籍を取得した方を含む)であって海外に居住していた期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
⑧ 昭和61年3月31日以前に厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間又は共済組合の退職一時金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限る)
⑨ 国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間(20歳以上60歳未満の期間に限ります)
⑩ 厚生年金保険、船員保険の被保険者及び共済組合の組合員期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間
(3)昭和36年3月31日以前の期間で
① 厚生年金保険・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以後に公的年金加入期間がある場合に限る)
② 共済組合の組合員期間(昭和36年4月以後に引き続いている場合に限る)
参考文献:「年金分割の考え方と実務」年金分割問題研究会編(民事法研究会)
社会保険庁HP:http://www.sia.go.jp/topics/2009/n0514-2.html
弁護士 石黒麻利子