今回は、財産分与に関するお話です。

 今までにも何度か当ブログでも説明している通り、財産分与の対象になるのは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産で、これを共有財産と言います。これに対して、結婚前から個人で所有していた財産や、婚姻期間中に相続や贈与によって得た財産は、特有財産といって、財産分与の対象にはなりません。

 例えば、親から相続した土地や、自分が買ったマンションでもその資金を親が全額出してくれたような場合は、その不動産自体は特有財産として原則として財産分与の対象にはならないと考えられます。

 では、その特有財産である不動産を賃貸して得た賃料収入等の果実は、やはり特有財産として財産分与の対象にならないのでしょうか。

 ちなみに、カリフォルニア州民法5107条には、「妻が婚姻前から所有していた財産、婚姻後に贈与、遺贈、不動産遺贈、相続により取得した財産は、すべて、それらのものから生ずる賃料、利息等の果実とともに、妻の特有財産である」と規定されているそうです。

 しかし、残念ながら、日本の民法にはこのような規定はありませんし、私が調べてみた限り、明確にこの部分を説明した判例や文献を見つけることはできませんでした。

 ただ、内縁解消に基づく財産分与の審判の事例で、財産分与の対象となる内縁関係中の蓄財財産の認定において、「相手方所有土地から上がる賃料を相手方の特有財産とみるべき」と述べているものがありました。もっとも、この事例では、この特有財産についても、内縁関係継続中における双方の具体的状況、蓄財に対する双方の寄与の度合い、内縁解消後における申立人(本件では内縁の妻)の生活程度、相手方の分与能力を総合的に見て、この特有財産が内縁費用の分担として双方の内縁関係維持に提供されたとみるのが妥当であるから、内縁関係中の蓄財財産から考慮しない、つまり、分与の対象とする、という判断をしています(福岡家裁小倉支部昭和46年8月25日審判)。

 そうすると、結局のところ、特有財産の果実が特有財産にあたるか、という質問に対する答えはイエスだとしても、その果実が財産分与の対象になるかならないか、という一番重要な部分については、具体的な事情によって異なるとしかいえないことになりそうです。

弁護士 堀真知子