弁護士 岡本珠亀子

 

 こんにちは。節電で街中が暗い中、いかがお過ごしでしょうか。本日は雨も降って、さらにどんよりしていますね。

 そんな中、どのような話をしようかな、というところですが、今日は、「別居」という新しいスタートの際の住所変更(役所に対して転出届、転入届をすること)に関する話にしようと思います。

 夫婦が別居する際、住所変更をするか否かには、いろいろな要素がからんできます。

 例えば、DVを受けている妻や子の場合は、逃げた先が夫に知られては危険ですから、住所変更をしない方がよいです。

 ただ、住所変更をしないと、逃げた先の市区町村による様々な保護が受けられないことになります。例えば、子どもの医療費助成や、母子家庭の助成などです。別居してただでさえお金がかかるので、そういう時こそ、行政による助成を受けたいのですが、基本的に、助成は住民登録のある市区町村が行うことになっています。

 しかし、小中学校については、住所変更をしていなくても、実際に居住しており夫婦の別居など事情があるのであれば、その居住地に転入届をしていなくても、居住地の小中学校へ入学することができます。子どもの教育を受ける機会を保障するためです。

 以上に対して、家を出る妻や子に住所変更してほしくないという夫もいます。おそらく、この場合、不仲になった妻に住所変更してほしくないというより、子どもに住所変更してほしくないという気持ちの方が強い場合が多いのではないかと思います。これは、住所変更をしてしまうと、転出先の市区町村において小中学校に入学することが当然認められてしまい、転出先において子ども達の生活の基盤ができてしまうので、子ども達が元の家に戻って来にくくなってしまうからです。

 このような場合、夫が妻や子の住所変更を防ぐにはどうすればよいか、ということですが、これを法律的に防ぐことはできません。しかし、ある市では、市区町村の役所に、「夫婦間で離婚と子どもをめぐって紛争中であり、子どもが転出するのに反対である。」と伝えておけば、妻が自分と子どもの転出を役所に申し出た時に、夫が転出に反対している旨を妻に対して伝えてもらえるそうなので、事実上、妻に転出届を留まらせることはできます。

 転居したら住所変更をするというのは当然のことかもしれませんが、さまざまな利害関係を考えなければなりませんね。