皆様、こんにちは。
前回は、離婚請求や慰謝料請求をしたいと考えるにあたって、ご主人や浮気相手を責めるより、まずは証拠集めを粛々と進めていきましょう、というお話をさせていただきました。
もっとも、そう悠長に構えていられないのもまた事実です。そこで、今回は他にも準備すべき点について簡単にご紹介させていただきます。
多くの方は、ご主人の浮気や暴力に耐えかねて我慢の限界に達したら、「直ぐに離婚したい!」というお気持ちになるので、実際問題あまり心配ないかとは思います。
ただ、離婚するという結論を急ぎすぎて、慰謝料や財産分与の取り決めをしないままにしてしまうと注意が必要です。
これらの請求にも「時効」が存在するのです。慰謝料は離婚後3年以内、財産分与は離婚後2年以内に請求(訴訟などの法的手続を起こすこと)しないと、権利を失ってしまいます。しかも、請求といっても、ただ主張すればよいのではなく、証拠や資料に基づいた主張でなければなりません。
したがって、慰謝料や財産分与は離婚の話と同時に行う方が労力の面からみても合理的だといえます。
慰謝料の点に関しては、離婚の理由(離婚原因)に関わる事情と重複することが多いので、手間が増えることは少ないと思います。
例えば、離婚理由の一つに不貞行為がありますが、これはつまり相手方の浮気ですので、証拠集めの負担が増加することはありません。
他には、ご主人の暴力や暴言を主張する場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」という原因が成り立つと主張することになりますが、同時に慰謝料の理由にもなります。
手間が増えるといえるのは財産分与の点です。
夫婦で築き上げてきた財産を分けることになるのですが、財産の内容や分け方などで揉めることが少なくありません。
そもそも分与する対象となる財産はどれかという点で争われることがあります。対象となる財産は婚姻中に夫婦が共同して作り出した財産といわれていますが、少しわかりにくいですし、時期や財産が形成された過程を個別具体的に見なければなりません。
さらに、夫側は少しでも財産を取られまいと、財産に関する資料を隠したり、色々な理由を付けて特有財産であると主張してきたりすることが考えられます。
そこで、財産に関する資料についてもなるべくお早めに収集を開始されることをお勧めいたします。前回の記事でご紹介したように、関係資料を写真やコピーを撮るなどして保管して、不動産、預貯金、株式、その他財産・・・・・・といった具合に項目毎に整理しておくと、調停や裁判等での展開が早くなります。例えば、相手方が財産を一部隠して主張してきた場合にも、証拠資料があれば直ぐにその存在を指摘することができます。
なお、借金の調査も忘れずにしましょう。相手方はギャンブルなど個人的な理由で作った借金でさえも、適当な経緯や理由を付けて夫婦で負担するべきだなどと主張してくるので、防衛的な意味でもご自分だけでなく相手方の財産(負債)状況を調べる意義があります。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。