2 子が私立学校に通っている場合

 子の扶養義務は、基本的には両親の収入に基づいて、それぞれが負担するべきものと考えられています。
 そうすると、子が私立学校に通っているため、実際には公立学校の学校教育費よりも多額の学費等が掛かっている場合には、両親がそれぞれの扶養義務の割合に応じて、その費用を負担し合うべきものと考えられます。

 もっとも、子が私立学校に通学している場合にその学費等が考慮されて養育費が算定されるのは、義務者が当該私立学校への進学を承諾している場合や、その収入及び資産の状況等からみて義務者にこれを負担させることが相当と認められる場合等といわれており、必ずしも上記のような処理になるとは限りません。

3 具体的な計算方法

 具体的な計算方法は様々ですが、一般的には、① まず算定表に基づいて養育費の金額(月額)を算出した上で、② 実際の学費等の金額から公立学校の学校教育費を控除した「超過分」を算出し、③ その「超過分」を両親それぞれの収入に応じて按分し(※)、そのうち義務者の負担分を前記①に加算した金額を養育費の金額とする、という扱いが多いと思われます。

 たとえば、① 算定表で算出された養育費の金額が10万円、権利者の収入を0円とします。
 そして、② 実際の私立中学の学費が年間60万円(月額5万円)である場合、公立中学の学費は月額1万1185円とされていますので、その超過分は月額3万8815円(=月額5万円-月額1万1185円)ということになります。
 ③ 権利者の収入は0円ですので、この超過分は全て義務者の負担になります(※)。前記①にこの超過分を加算すると「13万8815円(≒約14万円)」になり、これが養育費の金額(月額)ということになります。

 ※基本的には、義務者と権利者の収入に応じて按分して計算することが考えられますが、私立学校の学費等が極めて高額である場合には、義務者の負担が過大となり、その生活が成り立たなくなるおそれもあります。このような場合には、義務者の収入や資産の状況等を考慮して、義務者と権利者の負担割合を調整する必要があるとも考えられています。

 具体的な処理は個々のケースによって様々だと思われますので、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。