初めに
つい先日の平成29年1月26日、40代の夫妻が9歳の長女の親権をめぐり争った訴訟の控訴審判決が、東京高裁で出されました。
テレビのニュース等でも紹介されており、注目された方も多いと思いますので、今回はこの判決について簡単に紹介させて頂きます。
事案の概要
この事案では、平成22年に妻が夫に無断で長女を連れて出ていき、以後別居状態が続いておりました。別居後は、ほんの数回しか面会交流が行われず、夫側が親権をめぐって離婚訴訟を起こしていました。
一審では、千葉家裁松戸支部にて、平成28年3月に判断が下され、同裁判所は、「長女が両親の愛情を多く受けるためには多数の面会を約束した夫に養育されるべきだ」との判断から、面会交流を月1回程度とする妻ではなく、年間100回程度の面会交流を行うとした夫を親権者とする旨の判断を下しました。妻側は直ちに控訴し、東京高裁にて審理が進められていました。
抗告審である東京高裁判決の内容
抗告審である東京高等裁判決は、①面会の約束は考慮されるべき事実の一つであるものの、面会だけで子供の健全成育や利益が確保されるわけではない、②長女は妻の下で安定した生活を送っているうえ、母親との生活を望んでいる、③100日の面会は移動の負担や、友達との関係にも支障が生じうる、妻側が望む月1回程度の面会でも子供に不利益にはならない、等を指摘し、一審判決を変更し、親権者を母親と定めました。