2 婚姻前の配偶者の債務を婚姻期間中に返済していた場合に、返済した分を分与してもらえる?
離婚の時点で、まだ借金が残っている場合については、上記のとおりです。では、婚姻期間中に夫婦で協力して行っていた返済についてはどうか、ということになります。 上記のとおり、婚姻前の債務自体は、婚姻期間中に夫婦が築いた共有財産ではありませんから、財産分与の対象とはなりません。しかし、婚姻後、夫婦が協力してその借金の返済をした場合には、その協力を財産分与で評価するべきだとする見解もあります。 また、婚姻後の借金ではありますが、婚姻前の借金と同様に財産分与の対象とならない個人的債務に対する返済について、借金を夫婦で協力して完済した経緯や、その他本件における一切の事情を考慮して、夫婦財産の清算として一定額の財産分与を認めている裁判例もあります(名古屋地裁昭和49年10月1日判決)。
このように、婚姻前の配偶者の借金の返済について、財産分与において一定の場合には、考慮される可能性もあるので、ぜひ一度ご相談ください。