離婚のご相談を受ける際に、結婚前に相手方が負担した借金を結婚後に夫婦で一緒に返していた場合に、財産分与で考慮されないのか、とご質問をいただくことがあります。そこで、今回は、結婚前の借金についてご説明いたします。
1 婚姻前の配偶者の債務が財産分与の対象となる?
ご存知の方も多いと思いますが、結婚前の相手方の借金は、原則として財産分与の対象とはなりません。
そもそも、財産分与は、夫婦が婚姻期間中に築いた共有財産を離婚に際して清算するための制度です。資産でも負債でも共有財産とはなりえますが、夫婦が協力して築いた財産が対象ですので、夫婦となる前の財産については対象とならないのが原則となっています。したがって、結婚前の相手方の借金は、原則として財産分与の対象としていないのです。
なお、婚姻後の財産だとしても、夫婦が協力して築いた財産でない場合には、財産分与の対象とならないこともあります。たとえば、夫婦共同生活と無関係な個人的債務(ギャンブルでできた借金、個人の趣味のための借金等)に関しては、財産分与の対象とはなりません。