3 配偶者がいることを過失なく知らなかった

 第三者に不貞慰謝料を請求するためには、当該第三者が不貞行為当時、不貞相手に配偶者がいることを知っていたか(故意)、知らなかったことについて過失があるということが必要です。
 交際していた異性が実は既婚者であることが後で発覚した・・・ということは比較的あり得るケースだと思います。前述の「2」のケースの場合は、既婚者であることを知っている以上慎重な判断が求められるのはやむを得ないといえますが、「3」のケースでも異性と交際する前にきちんと配偶者の有無を確認しないのが悪い!というふうになるのでしょうか?

 私見としては、異性と交際する場合に、常に「配偶者の有無」について確認することが必要である、と考えるのは行きすぎだと考えます。意中の異性に対して「結婚してないよね?」と毎回言わなければならないのでは、ムードもへったくれもありませんよね。
 したがって、「既婚者がいるのでは・・・?」という疑念を生じさせる何らかの事情がない限り、第三者に過失がないと考えるべきではないでしょうか。なお、言うまでもありませんが、既婚者であることが発覚した後も交際を継続した場合には、発覚後の不貞行為については第三者も責任を負うことになります。