こんにちは。
 今日は、家庭内別居夫婦間における婚姻費用分担請求についてのお話です。

 先日、ある家庭内別居夫婦間における婚姻費用の審判が終了しました。

 婚姻費用は、基本的には、婚姻費用算定表に基づいて機械的に算出されます。そのため、婚姻費用の審判は、比較的見通しが立ちやすく、スピーディに終わります。

 しかし、これはあくまで婚姻費用算定表が使える場合の話です。

 婚姻費用算定表は、別居夫婦を前提として作られているので、家庭内別居(同居)中の夫婦にそのまま使うことはできません。

 別居と同居で何が違うかというと、別居する場合は通常、住居費や水道光熱費は夫婦で別々になり、また例えば、別居をきっかけとして夫が支払っていた妻の携帯電話料金を妻が支払うようになるなど、夫のものは夫の負担、妻のものは妻の負担と夫婦の家計がはっきり二つに分かれます。

 しかし、同居のままだと、当然、住居費や水道光熱費は一本ですし、例えば妻の携帯電話料金を夫が支払い続けるということになるのに、食費だけは別々、というように、夫婦の家計がある部分は一つ、ある部分は二つ、と複雑になってしまいます。

 では、どうするのか、ということですが、確立された考え方はないようです。 私が経験した審判でも、裁判官がいろいろと試行錯誤しながら進めていました。

 当初裁判官は、「双方の収入と支出を詳細にみて決める。」と言っていましたが、本当に双方の収入と支出を全て詳細に見ていたら、かなり複雑な事になりそうだということになりました。結局、

① 標準算定方式(別居ケースで使われる算定式)をベースとして(ただし、妻の生活費指数は55とする)婚姻費用を算定した上、夫が妻や子供のために負担している金銭をすでに婚姻費用の支払があるものとして扱い、先ほど算定された婚姻費用から差し引くという考え方と、

② 実際の家計の収入から毎月固定的に支出される費用(税金、住宅ローン等)を差し引き、その残額を実際に使える生活費と考えて、その夫婦双方の生活費を夫婦それぞれの生活費指数(ただし、妻の生活費指数は55とする)で案分するという考え方

を併用し、裁判官が妥当な額を決めました。

 本件では、家計に関する資料を詳細に出してやっと、この結論に至りました。世の中の家庭内別居の家計は一つとして同じものはないでしょうから、本件とは別の家庭内別居ケースでは、本件とは異なった考え方が用いられるかもしれません。

 家庭内別居中で夫からもらっている婚姻費用が算定表より少ないと言って相談にいらっしゃる方もいますが、家庭内別居の婚姻費用は、算定表だけでシンプルに判断できるものではないようです。