こんにちは!
今日は、男女関係で起こりそうな、ちょっと興味深い判例(東京高等裁判所昭和57年4月28日判決)を見つけたので、紹介します。
とある男性が銀座の酒場(クラブとかキャバクラでしょうか。)に行き、あるホステスの女性と知り合い、交際を始めました。男性のほうは実は既婚者だったのですが、独身と偽っており、女性のほうもそれを信じていました。男女の交際は深まり、頻繁に一緒に泊まったり肉体関係を持ったりする仲になりました。そのうち男性は自分のキャッシュカードを女性に渡し、その口座への入金手続きを女性に任せたりするようになりました。そんな中、男性が実は既婚者であることが女性にばれ、女性は逆上し、預かっていたキャッシュカードから、男性に断りなく、口座残高のほぼ全額の約277万円を引き出し、一部を酒場の飲食代のツケに充てて、その残額をすべて、手切れ金代わりに自分の手中に収めてしまいました。女性は男性にキャッシュカードを返し、男性との関係を一切打ち切るといいました。
さてそこで、男性は、女性が引き出したお金は不当利得だ!ということで、女性に対し、返還を求めました。
この請求は通ったのでしょうか?
通らなかったのです。
その理由は、男性が女性にキャッシュカードを預けてしまっているということは、とくにそのカードの使用について反対していなければ、女性がそのカードを自由に使うことを許容していると解されるから、とのことです。
男性としては、まさか全額引き出されるとは思っていなかったのかもしれません。でも、キャッシュカードを預けた人を法は守ってくれないということです。
男女関係が絡むと、とかく、冷静な判断を失いがちです。上の例の男性としては、女性にキャッシュカードを預けて、男女関係をつなぎたいという思惑もあったかもしれませんが、裁判所の判断は、「自業自得だよ」ということでしょうか。そのようなことに陥らないためにも、男女間のサービス精神はほどほどに。