Q.
独身とウソをついて女性と2年ほど性的関係を含む交際をしてきました。先日、既婚ということがバレてしまい、女性から500万円の慰謝料を請求されてしまいました。交際したいが為にウソをついたのは、悪いことだとは重々分かっていますが、500万円もの慰謝料を払うお金がありません。ただ出来るかぎり誠実に対応したいと思ってます。どのように対応したらいいのでしょうか。
A.
まず、①法的に慰謝料を払わなければならないのかを検討します。払わなければならない場合、②相場としてはどのくらいの金額が妥当なのかを弁護士に相談する等して確認いただき、③御自分で対応なさるか、弁護士に依頼する等して、慰謝料の金額や支払い条件等について相手方と交渉をし、④示談書をまとめるのがよいでしょう。

1 不貞相手からの慰謝料請求は可能?

不貞した当事者たちの間で慰謝料の請求はできる?

 不貞の当事者間では、基本的には慰謝料の請求はできません。ただし、不貞の当事者間のうち、いずれかの不法性の度合いが大きい場合には、不法性の度合いの小さな当事者から不法性の度合いの大きな当事者に慰謝料請求が可能となる場合があります。

独身と偽って付き合ったことの不法性は小さくない

 御相談者様は、女性と交際をするために自らは既婚者であることを隠し、独身であると告げ、性的関係を含む交際をなさっていますので、御相談者様の不法性の度合いは決して小さくはないと考えられます。

2 独身とウソついた場合の慰謝料請求の相場

不貞当事者間での慰謝料の金額の考え方

 不貞当事者間での慰謝料の金額は、一方当事者の不法性の度合いの大きさにより決まります。自ら独身であるとウソをつくことは、不法性の度合いを大きくする事情として、慰謝料の金額を増額する方向に働く事実となり得ます。
 もっとも、ウソをついた事実それのみで、慰謝料額の相場が具体的に定まるものではありません。不貞当事者間での慰謝料の金額は、ウソの内容や程度、性的関係を結ぶに至った経緯、性的関係を誘起した責任がいずれにあるのか等、種々の事情によって決まります。

500万円は慰謝料としては高額

 具体的な事情にもよりますが、不貞当事者間での慰謝料として500万円という金額は、一般に高額であると考えられるので、減額を目指して交渉を進めていくこととなります。

3 慰謝料請求してきている相手方との交渉の流れ

内容証明等の通知文を送る

 内容証明郵便等で請求金額について通知がなされます。

 通常、内容証明郵便には、相手方の請求を基礎付ける事情が記載されていますので弁護士に相談する際には持参いただくとスムーズです。
 ご注意いただきたいのは、ご自分で内容証明記載の連絡先に架電する場合です。対応を誤ると不利な証拠を相手方に作られてしまう可能性があるので、くれぐれもご注意ください。

解決に向けて交渉を行う

 交際自体を否認するのか、一部を認めて金額の交渉を進めていくのか等、交渉の方針を決定します。方針について決定したら金額や支払条件等についての交渉を開始します。

 御相談者様の場合、交際自体は認めるものの、慰謝料金額の減額に加え、分割での支払い等の申し入れをしていくこととなります。
 他にも他者への口外を禁止したり、他に金銭の請求をお互いに行わない等、事件の解決に必要な事項についても詳細を詰めていきます。

示談書を締結して事件をまとめる

 交渉でまとまった内容で示談書を締結し、事件を終結させます。