弁護士は、実務で日常的に内容証明郵便を利用しています。用途は、履行の催告、警告、契約の解除等、多岐に渡ります。
 弁護士から内容証明郵便を受け取る場合や、ご自分で出す場合もあると思いますので、ここで内容証明郵便について、ご説明します。※この解説では電子内容証明については言及しません。

1 内容証明郵便とは

 郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう特殊取扱郵便物です。
 皆様になじみのある普通の郵便物(手紙・はがき)と異なり、①書式が厳格に定められている点、②文書の内容そのものが郵便局に保管され、証拠として残る点等が特徴です。

2 内容証明郵便文案の作成

⑴ 書式に従ってください

 横書きの場合は、1行20文字以内、1枚26行以内という制限があります。
 半角文字が使えないというルールもありますので御注意ください。差出人及び受取人の住所氏名の記載も必要で、差出人の後に押印も必要です。他にも様々なルールがありますので、郵便局のホームページを参考になさる等事前の確認をお勧めいたします。

⑵ 2枚以上になる場合は契印を押してください

 2枚以上になる場合は、つづり目に契印が必要となります。
 一般社会では、以下の①②いずれかを満たせば「契印」がなされていると扱われます。

① 複数の頁の文書がある場合に、その文書の各頁の境目にそれぞれ押印がされている
② 背表紙が付けられている文書の場合に、背表紙と表紙の境目、背表紙と裏表紙の境目にそれぞれ押印がされている

 ただ、内容証明郵便の際に求められる契印は少し特殊で、②では職員さんに不十分と言われます。②がなされている場合でも①が必要となりますので、御注意ください。

3 内容証明郵便を発送する

 文案が完成したら、同一の文書、内容で、相手に送付するもの1通と、差出人交付用1通、郵便局保存用1通の合計3通を郵便局窓口までお持ちください。
 窓口には内容証明郵便自体に押印したものと同じ印鑑を持参することをお勧めします。細かな修正を求められた場合にすぐに対応できるようにするためです。

4 発送の際の注意

 内容証明郵便はどこの郵便局でも出せるわけではありません。郵便認証司という資格を有する社員のいる郵便局でなければ受け付けることができないためです。具体的にどこの郵便局であれば内容証明郵便を出すことができるかは、差出しを予定している郵便局に直接お問合せいただくことで確認することができます。
 急ぎで内容証明郵便を出す場合は、事前に郵便局に確認することをお勧めします。

5 内容証明を発送する前にご相談を

 以上のような多くの手間暇をかけて内容証明郵便を発送できたとしても、一般の方が作成した内容証明郵便では、①法的効果の発生に必要な文言が抜け落ちてしまっていたり、②不要な文言を記載していたことで、かえって相手方に有利な証拠を与えてしまうことが往々にしてあります。特に②の場合は取り返しのつかないことが多いですので、内容証明郵便を発送する前には弁護士に一度相談されることをお勧めします。