先日、DeNAの釣りゲームがGREEの釣りゲームに酷似しているとしてGREEがDeNAに対して著作権侵害に基づく損害賠償請求とゲームの配信差止を求める訴訟において、DeNAに対して約2億3400万円の損害賠償と配信差止を命じる判決が出されました。

 この判決においては、魚を釣り上げる画面の、同心円が3重になっている点、魚を黒い魚影で表現している点、魚が同心円の一定の位置に来た時に決定キーを押すことになっているゲーム性、などにおいて類似性が認められるので、著作権を侵害していると判断されたようです。

 この判決において指摘されたような点に注目すると、たしかに両ゲームは似ているように見えます。

 しかしそもそも、何をもって「類似性」があるというべきか、というのは古くから議論されていたところで、未だ、確定的な考え方があるわけでもありません。

 「類似」しているというのは、古くから、「原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できる」という意味で捉えられていますが、やはり、「本質的な特徴」とは何か、とか、「直接感得できる」とは何かとか、すぐに理解できるものではありません。

 「本質的な特徴」というのは、著作物の創作性のある部分のことだと考えられています。著作権法は創作性を保護する法律ですから、ある著作物の創作的表現が他の著作物の表現にどれだけ利用されているのかという視点が必要になってくるのです。

 そこで次に、「創作性」、「創作的表現」とは何か、という問題となります。混点については、著作者の個性が表れていればそこに「創作性」があると言われたりします。また他方で、表現方法に選択の余地がある点にはそこに「創作性」が認められ、表現方法に選択の余地がなく一定の表現方法しかあり得ないような点には「創作性」がないという見解もあります。

 前述のGREE対DeNAの例では、例えば、3重の同心円という点において類似性が認められると判断されています。ということは、裁判所は、この点に創作性があるという前提に立っていることになります。たしかに2重にするか4重にするか、3重以外にも選択の余地はありますが…。DeNAのゲームは4重の同心円を採用していたらよかったのでしょうか。

 類似性というのは、簡単に判断できないにもかかわらず、もしも「類似性あり」として著作権侵害が認められてしまうと、億単位の損害賠償や差止めの負担が生じうるので、慎重にすべきとは思います。しかし、特にオンラインゲームのようなものは日々開発されては淘汰されていくものなので、そんなに慎重になっているひまはないでしょう。

 DeNAは上記の判決を受け、即日控訴しているので、高裁での判断も興味がありますね。