桜が咲き始めたかと思えば、気温が急に下がったりと、なんだか変な天気が続いていますね。お体には十分お気をつけください。
 さて、今回から商標法について見ていきたいと思います。

1.趣旨・目的

 商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的としています(商標法1条)。

 ある営業者が商品や役務の質の改善や保持に努めた結果、需要者がその商品や役務に対する信用を持った場合、その営業者は事を有利に運べるようになります。しかし、これを他人が模倣することができては、需要者がこれを混同して商品を購入したりしてしまうため、その営業者は損をしてしまいます。損だけではなく、粗悪な模倣品が出回れば、築き上げた信用すらなくなってしまいます。逆に信用して購入した需要者に損害を与えてしまうかもしれません。

 このようなことを防止し、需要者や営業者の利益を保護するために定められたのが商標法ということです。

2.機能

 商標法には一般に、出所識別機能、品質保証機能及び宣伝広告機能という3つの機能を有するとされています。

 商標法によって商標権の保護が図られる結果、商標権侵害が抑止され、商標が正しく登録商標権者の商品や役務を識別できるのであれば、需要者が商標を見れば、その出所を識別することができます。これが出所保証機能です。

 また、営業者も、需要者によって出所が正しく識別されるのであれば、事故に対する評判を汚さないように、さらに評判を上げられるように、商品や役務の質の維持、改善に努めるでしょう。これが品質保証機能です。

 さらに、営業者が品質保証をしている結果として、商標に一定の信用が化体していきます。それにより商品や役務を離れて、その商標自体に顧客吸引力が付着し、一定の財産的価値を有することになるでしょう。これが宣伝広告機能です。

 ただし注意しておいていただきたいのは、商標法は出所保証機能を直接に保証していますが、その他2つの機能は営業者の努力によって生れてくる機能ですから、登録しておけば当然に保証される機能ではないことをご留意ください。

 商標権は、登録商標に類似する商標を、指定商品、役務に類似する商品、役務に使用等することを禁止する権利であります。自己の商品や役務を指定して出願し、審査のうえ、登録を受けることにより商標権を取得することができます。文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩の結合であれば、商標として登録しえます(商標法2条1項)。審査の際には、所定の要件を満たしているか否かについての吟味がなされ、要件を欠く場合には拒絶査定を受けます。過誤登録の場合には無効審判により無効とされます。また、商標掲載公報の発効日から2ヶ月以内であれば誰でも登録異議を申し立てることができます。

 以上が商標制度の概要ですが、今後、これらについて詳細にご説明いたします。

弁護士 松木隆佳