こんにちは。本日は、他人の著作物を利用する時に誰に許諾を取ればよいか、という点についてお話をします。

 当然、著作権をもっている人に許諾をとるべきだろう、ということになりますが、意外に、この点について誤った判断をすることもあるのではないかと思います。

 そもそも、この問題の基本は、「著作権は誰にあるのか」という点にあると考えられます。

 例えば、絵画であればそれを描いた画家、小説であればそれを書いた作家ということになります。これはわかりやすい例だと思います。

 ソフトウェアの場合はどうでしょうか。企業内では、さまざまなソフトウェアを利用することがあると思います。前記の絵画や小説の例に倣えば、そのソフトウェアを開発した人(法人)に許諾をとればよい、ということになりますが、必ずしもそういうわけにはなりません。

 なぜかというと、通常、ソフトウェア開発委託契約においては、ソフトウェアを開発する法人(以下、「開発者たる法人」といいます。)と、その法人に開発を委託する発注者たる法人(以下、「発注者たる法人」といいます。)がおり、この両法人間において、著作権の帰属が自由に決められるからです。

 ソフトウェア開発委託契約において、開発者たる法人に著作権を帰属させる場合は、当該ソフトウェアを利用するには、開発者たる法人に許諾を取ればよいということになります。他方、発注者たる法人に著作権を帰属させる場合は、発注者たる法人に許諾を取ればよいということになります。

 これも、容易に理解できる話だと思います。

 しかし、ソフトウェアは、単体で利用される場合だけでなく、複数のソフトウェアが組み合わされて利用される場合もあります。そうすると、多少、事態が複雑になってきます。

 例えば、甲社がAソフトウェアとBソフトウェアを組み合わせてあるシステムを動かしているとします。そして、Aソフトウェアは甲社において開発したもの、Bソフトウェアは乙社において開発し、乙社が甲社に対して利用許諾したものだとします。このような状態で、甲社と同様のシステムを導入したいと考えている丙社が甲社に対し、そのシステムを導入したいと持ちかけたとします。そうすると、丙社は、AソフトウェアとBソフトウェアの両方を利用することになります。ところが、甲社はAソフトウェアの著作権しか持っていません。しかし、甲社がBソフトウェアも利用している外観からすると、甲社はBソフトウェアの著作権も持っているように見えます。

 ここで、注意が必要となります。丙社が甲社からシステムを導入するにあたっては、甲社からAソフトウェアの利用許諾を、乙社からBソフトウェアの利用許諾を得なければなりません。甲社は乙社からBソフトウェアの利用を許諾されているかもしれませんが、丙社に対して利用許諾する権利はないからです。

 このように、特にソフトウェアの利用にあたっては、誰(法人)が著作権を有しているかについて注意した方がよいですね。