こんにちは。弁護士の吉成です。

 今回は、久しぶりに商標のお話をします。

 大分前に、識別力がないということで登録できない商標についてお話ししました。
 これは、例えば、チョコレートに単なる「チョコレート」という商標を使うような場合でした。
 商標は自分と他人の商品や役務を識別させることをその本質的機能とするため、識別させる力(特別顕著性)がない商標は登録が認められないわけです。

 しかし、登録が認められない商標はこれだけではなく、商標法4条1項で、登録ができない商標が列挙されています。

 例えば、国旗、菊花紋章、勲章、褒賞又は外国の国旗と同一又は類似の商標は、登録が認められません。これは、国家等の尊厳を保持することを目的としています。

 また、当然と言えば当然ですが、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標も登録が認められません。例えば、卑猥な言葉図形などを含む商標は、登録が認められません。また、「特許理工学博士」という商標が、博士の学位授与制度についての誤った認識を持たせるとして、公序良俗に反するとされた例もあります。

 また、商品又は商品の包装の形状であって、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標も登録が認められません。
 これは、その商品や包装の不可欠な形状を他人が使えないとなると、他人がその商品を作ること自体ができなくなり、競争を阻害することになるからです。

 こうした中でも、特に頻繁に拒絶の理由となるのが、他人の先願登録商標です。これは、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものは登録が認められないというものです。

 既に登録されている商標と同じ商標又は類似する商標が同一又は類似の商品・役務に使われるとしたら、商標制度の意味が無くなってしまいますので、これも当然の規定といえると思います。

 商標登録をお考えの方は、自分が登録しようと考えている商標と同一または類似の商標が、同一又は類似の指定商品・役務について登録されていないかチェックしておくことをお奨めします。

 ちなみに、既登録・既出願の商標については、特許電子図書館のホームページにて検索ができます。

以上

弁護士 吉成安友