今回は、新株予約権についてご説明したいと思います。なお、本説明は全て非公開会社を前提としております。
(1) 新株予約権とは
そもそも新株予約権というのは、将来、株式会社の株式を取得することができる権利であって、その名の通り新株の予約です。新株予約権者は会社に対する債権者であって、その行使によって株主となります。
そのため、法的に整備する必要がある場面は、
①新株予約権それ自体の発行
②発行された新株予約権の取扱い
③新株予約権の行使に基づく株式
の取得の3つの場面を想定することができます。
そこで、会社法では、これらの①から③を募集事項として規律し、②及び③を新株予約権の内容として規律しています。
当該募集事項(①から③まで)を要約して一部を抜粋すると、以下のようになります。
・新株予約権の内容
・新株予約権の数
・無償の場合は、その旨
・有償の場合は、その金額
・新株予約権の割当日等
更に、新株予約権の内容(②及び③)を要約して一部を抜粋すると、以下のようになります。
・②発行された新株予約権の取扱として
新株予約権の譲渡制限、会社都合による新株予約権の取得事由等
・③新株予約権の行使に基づく株式の取得として
新株予約権の対象となる株式数及び種類、株式の取得価額(出資価額)、新株予約権の行使期間等
(2) 発行手続
株主総会の特別決議によって、当該募集事項を決定します。ただし、新株予約権の割当日が株主総会の特別決議から1年以内の日である新株予約権にかかる募集事項の決定については、取締役会へ委任することができます。
具体的な手続の流れは以下のとおりです。
【株主総会特別決議による募集事項の決定】
↓
【委任があれば、取締役会による委任事項の決定】
↓
※【引受希望者への募集事項等の通知】
↓
※【引受希望者による申込み】
↓
※【取締役会による割当の決定】
↓
※【申込者へ割当新株予約権数等の通知】
↓
【割当日→登記手続】
ただし、上記※の部分は総数引受により、省略することが可能であり、実務上よく利用されている手続です。
総数引受とは、1回の募集手続により発行される新株予約権の総数について、引き受ける者があらかじめ定まっている場合のことをいいます。
なお、総数引受は1人によってなされなければならないというわけではなく、複数でもよいと解釈され、運用されています。
以上