3 契約破棄の実務
実際に、契約破棄の自由に近い事例は実務であります。
最近、特にM&Aの案件で、契約交渉過程で、売り手が別の買い手に乗り換えるという事件が増えているそうです。
これは、まだ契約が成立する前の段階で、別の買い手に乗り換えているので、厳密には、契約破棄ではありません。
しかし、判例は、「契約締結上の過失」という法理で、契約交渉が大詰めになった段階まできて突然はしごをはずす行為に対して、一定の損害賠償義務を負わせています。
それなのに、紛争覚悟で別の買い手に乗り換えるわけですから、この売り手は、まさに契約破棄の自由の発想で経営判断をしているのだと思います。