自分またはご家族が何か罪に問われるようなことをしてしまったということで、当事務所にお越しくださる方に対し、お話をお聞きした我々が、まず最初にしなければならないと考えるのは、多くの場合被害者との示談です。

 覚せい剤自己使用罪のような、いわゆる「被害者なき犯罪」を除けば、多くの犯罪は他人に害を与えるものです。そのため、害を与えた人に対して真摯にお詫びし、許していただくということは、社会に生きる人として当然ともいえます。そして、この当然のことをしたかしなかったかというのは、検察官や裁判所の判断に影響しますから、その意味でもお詫びして謝罪するということは大変重要なことです。

 しかし、被害者の立場に立てば、もう二度と犯人に会いたくないという気持ちを持つこともあるでしょう。そこで、我々弁護士が間に入ることになります。

 まずは警察・検察にお願いし、警察・検察から被害者と連絡を取ってもらいます。そこで被害者が、弁護士となら話をしてやってもよいということであれば、ご連絡をさせてもらうことになります。そして、被害者が犯人との同席を特に拒む場合や、犯人が勾留されている場合を除いて、なるべく本人を同席させて謝罪します。時には謝罪が受け入れられないときもありますが、それでも、受け入れていただけるよう最後まで努力をすべきでしょう。

 なんとか謝罪を受け入れてもらえたときには「示談書」、どうしても受け入れてもらえなかったときには、少なくとも謝罪したという事実を「陳謝趣意書」という形にして残します。
そして、それを警察・検察に提出します。ことが公判に至っていれば、弁護人という立場で裁判所に提出します。

 あとはどう判断されるか、最終的には公訴権を有する検察官、裁判権を有する裁判官の心証に委ねられるところですが、こういった書面が無い場合に比べ、有利な判断が出やすいということは言えるでしょう。また、犯人又はその家族から依頼を受けて一緒に謝罪に向かった我々としては、謝罪を書面化することで後から見返せるようにし、本人に自覚を与え、再犯防止につながることも期待しています。

 被害者に何とか謝罪したいが伝手がないとか、伝手はあるけれども向こうに会いたくないと言われているとか、そういった場合には弁護士がお役に立てることがあります。ご連絡ください。