弁護士の櫻井温史と申します。ある日、突然、警察から電話が・・・。「●●さんの夫が逮捕されました。」そんな、振り込め詐欺みたいなことは起きないと思っていませんか?そんなことはありません。弁護士をしていると様々な刑事事件の相談が入ってきます。「今日夫が逮捕されました。」、「社会人になりたての息子が逮捕されました。」などなど。相談に来られた方は異口同音、「まさかうちの●●が・・・。」とパニックになられていることが多いです。

万が一、このような事態が生じた場合は、真っ先に弁護士に相談しましょう。刑事事件はスピード勝負です。逮捕されると、まず3日間身体を拘束され、その後勾留されてしまうと更に10日間身体を拘束されます(更に勾留延長がされると、最大で23日間も身体を拘束されてしまいます)。身体拘束が長引けば、当然勤務先に発覚する危険性が高くなりますので、少しでも早く身体解放に向けて、動き始める必要があります。

勾留される前は、弁護人以外の人は、被疑者との接見が一切できません。逮捕されてから、少なくとも3日間は、ほぼ何もできないのです。また、勾留された後も、接見はごく短時間で、しかも、警察官の立ち会いの下でしかできません。

他方、弁護人であれば、原則として、いつでも接見ができ、警察官の立ち会いや接見時間の制限もありませんので、相談を受けてすぐ、警察署に接見に行き、被疑事実を確認します。被疑者の中には、自分がどのような被疑事実で逮捕されているのか把握されていない人もいます。被疑事実を正確に把握するためには、勾留されてから、勾留状の謄本交付請求を行う必要がありますが、勾留される前であっても、警察官に、被疑者に逮捕状を示すことを要求している刑事訴訟法の趣旨が充たされていない等と抗議して、被疑事実の内容を「事実上」教えてもらったりしたこともあります。

その上で、弁護人は、警察に送致の必要性がない旨の意見を述べたり、検察・裁判官に勾留の必要性がないことを説明したりします。また、被害者との示談交渉にも速やかに着手し、勾留請求を阻止したり、不起訴に向けた活動を行うことが可能なのです。勾留がされてしまった場合でも、準抗告を行ったり、勤務先との対応を行ったり様々な活動を行います。

備えあれば、憂いなし。ご家族が逮捕されてしまった場合には、真っ先に弁護士に相談することが大事ということを頭の片隅に置いておきましょう。