強姦罪は、一般社会では”レイプ”と呼ばれています。
レイプという言葉を聞いて皆さんが連想するのは、暴行や脅迫行為を用いて、女性を無理矢理犯してしまう行為を思い浮かべるでしょう。
基本的にはその通りです。
刑法177条前段には、暴行・脅迫を手段として、婦女子を姦淫することだと書いてあります。
でも、刑法177条後段には、13歳未満の婦女子を姦淫する行為を強姦としています。ここでは、暴行・脅迫を用いることは強姦罪の成立要件とされていないわけです。
この点、各都道府県が定めている、いわゆる「淫行条例」との違いをちゃんと理解する必要があります。
淫行条例で処罰の対象となるのは、相手が18歳未満の場合です。淫行条例の場合も、暴行・脅迫は要件となっていない点では、13歳未満の婦女子との姦淫と同じなのですが、制度趣旨が全く違うんです。
淫行条例の場合は、心身がまだ未発達の青少年を大人が性のオモチャにしちゃいけませんよ、という趣旨なんです。青少年の健全な保護・育成が主眼となっているんです。
これに対して、13歳未満の婦女子との性交渉の場合は、男性と性的関係を築くことに関して、有効な同意がない、と考えられているんです。女の子の同意がないということは、「強いて姦淫」しているわけだから、”強姦”になるということなんです。
なので、仮に結婚を前提とした真剣なおつきあいであろうと、13歳未満の女の子に手をだしてしまったら、”強姦”です。「真剣な交際だ!」では通りません。
ただ、私は、立法論としてこれは少々問題があると思っています。
13歳未満というと、そのほとんどが小学生ですよ。13歳未満の中学生は、誕生日をむかえていない中学1年生だけです。
小学生の女の子が、自分の意思で男性との性交渉に応じるって、異常じゃありませんか?かなりおかしな小学生です。多くの場合、家庭環境に問題があります。
かつて、うちの弁護士が担当した事件でもそうでした。
その事件の被疑者は20代前半の男性で、相手の女の子は小学6年生でしたが、示談交渉をしてみて、やっぱり普通の親ではなかった…(すみません、内容が内容なので、あまり具体的なことは書けません)。
小学6年生の女の子が男性と性的関係を築くからには、それなりの背景があるんですよ。
その事件では、両親と無事示談が成立し、不起訴となりましたが、示談交渉は大変でしたよ。
このような強姦を、暴行・脅迫を用いてやる典型的な強姦と同視するのは、おかしいと私は思うんです。もしこの被疑者がその女の子と性交渉に及んでいなかったら、たぶんその女の子は別の男性と性的関係を築いていたに違いありません。
そうすると、問題はやっぱりその女の子にあると思うんです。