今日は略式手続についてお話しさせていただきたいと思います。
 世間では「略式」と言われたりもする略式手続について、略式手続はどのような場合に行われるのか、どのような手続が行われるのかといったことについてご説明させていただきます。

第1 略式手続とは?

 略式手続という言葉を聞いたことがある方は多くいらっしゃると思います。では略式手続とはどのようなものなのでしょうか。
 略式手続は刑事訴訟法第461条から第470条までに規定されているもので、簡易裁判所が書面審理によって、略式命令という形で、100万円以下の罰金または科料を科す刑事手続となります(科料とは、1万円未満の罰金と考えていただければ結構です。)

第2 略式手続が執られる場合とは?

 まず、略式手続を執る前提として、その対象たる被疑者自身の同意が必要となります(つまり、検察官が勝手に略式手続を執ることはできません。)。また、その同意についても、「うん、いいよ」といった口頭での同意では足りず、書面で行う必要があります。
 また、略式手続については上述のように、100万円以下の罰金又は科料しか科すことができませんので(執行猶予はつけることができます。)、そのような刑を科すことができない罪については略式手続を執ることができません。例えば、殺人罪は刑法第199条において「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」のみが刑罰として規定されておりますので、殺人罪として裁かれることを前提とした略式手続を執ることはできないことになります。