1 覚せい剤依存症
覚せい剤を使用すると、疲労感の減退、気分高揚、多幸感、全能感や誇大感が生じます。覚せい剤の効力が消失すると、反動として、疲労感、脱力感、抑うつ気分などが続くことが多いとされています。
そのため、再び覚せい剤を使用して、快感を得たいという欲求が生じ、この繰り返しの結果、慢性的な覚せい剤依存症になっていきます。
2 覚せい剤依存症と刑事弁護
覚せい剤依存症が慢性化すると、自分の意思だけで覚せい剤を断ち切ることはほとんど不可能で、きちんとした治療や、周りの方の協力がなければ、再び覚せい剤を使用してしまいます。
覚せい剤取締法違反は、刑事事件の中で、比較的ポピュラーな事件ですが、刑事弁護人としては、被告人本人に、覚せい剤は自分の意思だけではやめられないということを自覚してもらうとともに、覚せい剤を断ち切る環境を整える手助けをしていく(そのような環境が整っていることを裁判所に理解してもらう)ことになります。
覚せい剤依存症については、覚せい剤更生施設等に参加するという形での集団精神療法を受けることが有用な場合があります。他者と時間を共有し、同じような境遇にある人たちの話を聞くことを通じて、自分自身を客観視することができるようになります。
また、家族や勤務先の協力を得て、本人の監督を行ってもらうのと同時に、第三者との関わりを増やすことにより、本人の社会的役割・繋がりを拡大し、本人が覚せい剤に頼らなくても大丈夫な環境を構築していくことも必要となります。