前回の記事で矯正施設について書きましたが、細かく見ていきたいと思います。
刑務所ってどこも同じなの?刑事施設で仕事をしている時に、よく聞かれた質問です。
刑務所は映画で有名になり観光地ともなっている北海道の網走刑務所、東京には日本最大級の府中刑務所、南は沖縄まで全国各地にあります。大きな壁がそびえ立つ施設があなたの近所にあるかもしれません。
では、全国各地にある刑務所はどこも同じなのでしょうか?
まず、それぞれの施設によって収容定員が定められ、規模が違います。府中刑務所のように数千人を収容する施設もあれば、数百人規模の収容定員の施設もあります。また、男性と女性で別々の施設(医療刑務所は除く)となり、更には初犯、再犯の基準によって収容される施設が分けられていきます。分類については下のようになります。
(ア)犯罪傾向の進度による分類
A級→犯罪傾向の進んでいない者(初犯)
B級→犯罪傾向の進んでいる者(再犯・累犯・暴力団関係者)
(イ)性・国籍・刑名・刑期による分類
W級→女性受刑者
F級→外国人受刑者
I級→禁固受刑者
J級→少年受刑者
Y級→26歳未満の者(青年受刑者)
L級→収容期間が10年以上の者
Jt級→少年院で刑の執行を受ける者
(ウ)精神上・身体上の疾患による分類
P級→身体的疾患があり、医療設備が整っている施設に収容する必要がある者
M級→精神的疾患があり、医療設備が整っている施設に収容する必要がある者
例えば、再犯で懲役15年の実刑判決を言い渡された場合、上記分類で見るとLとBとなり、LB級と表されます。収容区分がLB級の施設に収容されます。
LB級(長期・再犯受刑者)は神戸刑務所、熊本刑務所、徳島刑務所等
※その他の収容施設の例は以下のとおりになります。
W級(女性受刑者)は栃木刑務所、岩国刑務所、麓刑務所等
J・Y級(少年・青年受刑者)は「塀の中の中学校」(実際の刑事施設で収録が行われた)というテレビドラマで知られる松本少年刑務所や川越少年刑務所等
F級(外国人受刑者)は府中刑務所、大阪刑務所等、女性は栃木刑務所
LA級(初犯・長期受刑者)は岡山刑務所等
A級(初犯・刑期が短い受刑者)は市原刑務所、静岡刑務所等
B級(再犯・刑期が短い受刑者)は横浜刑務所、名古屋刑務所等
P・M級(医療措置が必要な受刑者)は八王子医療刑務所、大阪医療刑務所、北九州医療刑務所、岡崎両刑務所
以上のように単純に刑務所といっても細かく分類がされており、分類によって収容される施設が決まります。また、07年に日本で初めて発足したPFI刑務所もあります。
次回更新は、実際にこの目で見てきたPFI刑務所について書きますので、更新したら是非読んでみてください。
元矯正職員