橋下大阪市長が、戦時中の従軍慰安婦問題に関し、「当時は必要だった」と発言したことに対し、弁護士や市民ら約700人が、5月29日、大阪弁護士会に懲戒請求をしたそうです。

 いや~、これには驚きです。

 弁護士になると、政治的言論の自由も行使できないのでしょうか?

 しかも、この懲戒請求に弁護士も関与しているのには驚きです。むしろ、懲戒請求している弁護士さんたちに、「あなた、憲法を勉強したことないのですか?」と聞きたいくらいです。

 確かに、「当時は必要だった」という彼の見解にはボクは賛成できません。
 米軍が駐屯していたエリアって、よくゴー・ゴー・バーのようなセックス産業が発達してくるでしょ。タイとかフィリピンとかにありますよね。あれは強制的にやらされているわけではなくて、ビジネスですよね。

 でも、従軍慰安婦の場合は、おそらく強制されてますよね。女性の自由意思ではないはずです。そうすると、当時の国際法に照らしても、国際法違反である可能性があるわけです。だからボクは、橋下さんの意見に反対。
 でも、これはもしかするとボクの勉強不足で、橋下さんから詳しく論拠も含めた説明を聞き、「なんだ、そうだったのか!ならば橋下さんの意見に賛成」となるかもしれません。
 そういうことも含めて議論できる土壌が必要だと思うんです。だって、これってすごく政治性の強いテーマですよね。

 従軍慰安婦にされた女性やそのご親族の被害感情はあると思いますが、そのために政治的言論が弾圧されるのはおかしいと思います。仮に被害感情が害されるとしても、言論の自由、とりわけ政治的言論の自由は保護されなくてはならないと思うのです。

 実は、ある種の政治的言論には、その表現行為によって被害者の感情が害されるものってけっこうありますよ。
 例えば、死刑廃止に賛成という意見。これは凶悪犯罪に巻き込まれて命を奪われた被害者とそのご遺族の被害感情を害しますよね。だからといって、「死刑廃止に賛成だなどと言うな!」となってしまっては、この問題について議論できません。
 少年犯罪が凶悪化して厳罰化が叫ばれた時もそうでした。多くの人権派弁護士は、少年犯罪厳罰化に向けての法改正に反対しましたが、それって、少年犯罪の被害に遭った人たちの被害感情を害しますよね。
 だからといって、厳罰化に反対する意見を弾圧しようなどという動きはありませんでした。

 弁護士に対する懲戒請求。ちょっと濫用されぎみではないでしょうか。

 大阪弁護士会が橋下弁護士を懲戒しないことを願いますが、もし懲戒となったら徹底的に争うべきでしょうね。