1 エンジョイ・ボクシングジム体験練習

 昨日、朝鮮高校で行われたアマチュア国体の予選を観戦したあと、弟と一緒に、川口市にあるエンジョイ・ボクシングジムに行ってきました。

 1回1000円でビジターとして練習できるので、それを利用して練習してきたんです。

 なぜわざわざ川口まで行ってそのジムで練習したかったかというと、実は深い理由があるんです。

 昨年の10月に三谷大和ジム主宰で行われたスパーリング大会、これ、ボクも選手として出場していたんですが、この時に、エンジョイ・ボクシングジムの選手たちのディフェンスがあまりにも上手だったんで、きっとそのジムの会長の指導方針が影響しているのではないか、と思ったんです。

2 マスボクシングを主体としたディフェンス訓練

 1日だけですが、実際にそのジムで会長直々の指導を受け、目から鱗でした。

 そのジムでは、基本的にスパーリングはやりません。それなのに、スパーリング大会であれだけのディフェンス・テクニックを披露できるのは驚きですが、スパーリングをやらないことにはしっかりとした理論的根拠がありました。

 それは、スパーリングをやることによって、殴られた恐怖がトラウマとなって、パンチをよける余裕がなくなり、ブロック主体のディフェンスになってしまう。
 なので、相手のパンチをかわす技術が向上していかない。

 では、そのジムでスパーリングの代わりにどのようなトレーニングを中心に行っているのかというと、マスボクシングだったんです。
 マスボクシングとは、要するに”寸止め”です。

 実際に殴られることがないので、気持ちに余裕が生まれます。緊張感も解けます。

 パンチを出す方も、相手にダメージを与えようとは思いませんから、力まずにスピード重視でパンチを繰り出せるようになります。
 このような条件下で、相手のパンチに目を慣らし、パンチをかわす技術力の習得向上にフォーカスするんです。

 しかも、これを10ラウンドもやるんです。他のボクシングジムで10ラウンドもマスをやるところはないと思います。
 10ラウンドもやるので、相手のパンチに目が慣れていきます。

 10ラウンドもやるメリットはそれだけではありません。
 長丁場になるので、力んでいたらスタミナがもちません。必然的にリラックスすることになります。その結果、練習目標がディフェンス力の強化に集中できるんです。

3 エンジョイ流のシャドー・ボクシング

 このジムでは、シャドー・ボクシングも他のジムとは異なっていました。

 エンジョイでは、2人が向かい合ってシャドーをやります。まるで、マスボクシングのようなシャドーです。
 こうすることによって、シャドーボクシングを少しでも実践に近づけているんです。

 これも目から鱗でした。

 ボクは、以前からシャドーボクシングは上級者でこそ意味がある練習で、初心者には全く向かないと思っていました。

 なので、ボクはジムでも基本的にシャドーをやらないことにしています。というのは、実践の豊富な経験がないのに、目の前に相手がいるものと仮定したシャドーなんてできないからです。

 実際に、シャドーボクシングはすごくカッコ良くて強そうなのに、リングでグローブを交えてみると大したことない練習生って少なくないんですよ。
 動く相手と実際に殴り合うと、ひとりでやるシャドー・ボクシングのようにはいきません。

 この点でも、エンジョイではすごく工夫されていると思います。

4 反撃してくるサンドバッグ

 一番驚いたのはサンドバッグでした。

 シャドーと違い、サンドバックは実際に叩くので、相手を殴るときの距離感とか、殴ったときの感触とかが分かります。
 自分のパンチ力の程度も実感できます。
 さらに、殴るときに使う筋力も強化できるので、フィジカル面でのトレーニングにも役立ちます。

 しかし、しかし、サンドバックの最大の短所は、自ら攻撃してこない点です。
 ここでもエンジョイでは工夫がなされていました。

 100円ショップで買えるようなのですが、発泡スチロールでできた細長い棒を使って、2人1組になり、一人がサンドバッグを叩いている間、もうひとりは、この棒でサンドバックの後ろから攻撃するんです。
 発泡スチロールでできたフニャフニャの棒なので、顔に当たっても安全です。
 これをよけながらサンドバックを叩くんです。

 これは実際にやってみると大変楽しかったです。

 このように、エンジョイでは、素朴ながらも様々なアイデアを凝らしたトレーニングが工夫されており、とても勉強になりました。

 遠いので、あまり頻繁には行けませんが、週1回程度はエンジョイで練習してみたいと思っています。