先日の総選挙での日本維新の会。

 これをどう解釈するか。躍進と見るか期待はずれと見るか…。

 ボクの解釈は後者です。このブログでも以前書きましたが、橋下さんが石原さんと組むことによって、国民からは選択肢として分かりにくくなった観は否めません。

 ボクはかつて、橋下さんが大阪市長を辞任し、自ら先陣をきって選挙を戦えば、日本維新の会はかなり躍進するだろうと予測しましたが、結果は橋下さんが石原さんと組んだことにより、よくある既存政党の烏合集散とあまり変わらないようなイメージになってしまいました。

 今回の日本維新の会の選挙戦を見て思い出したのは、平成5年の総選挙の時の「平成維新の会」です。これは大前研一さんが立ち上げた政治団体で政党ではありませんが、有権者からのわかりにくさという点では似ています。当時の平成維新の会の基本方針は、「政党ではなくて候補者個人ベースで支持を表明する」などとやったために、わかりにくくなったんです。実際、平成維新の会は、共産党を除く全ての政党に跨って支持を表明したんです。
 結果、有権者からの支持を集めて大躍進したのは、細川護煕さん率いる日本新党でした。
 ちゃんとリーダー自身が出馬し、他の野党とも選挙協力をしない。どことも組まずに選挙戦を戦った。これは実にわかりやすい。

 ボクはてっきり橋下さんは、このときの日本新党を見習って政権奪取を目論んでいるのかと思ってましたが、そうではなかったようですね。

 それだけではありません。日本維新の会からは、段々”橋下色”が薄れる兆しが見え始めています。

 それが証拠に、日本維新の会の党三役は、いずれも旧太陽の党出身のベテラン議員です。橋下色は全くない。

 このことに焦りを感じたのか、橋下さん自身、テレビでこんなコメントを出していました。

 「ベテラン議員の方たちの力は必要です。でも、党にはちゃんと関与していきます」

 東国原さんも橋下さんよりなのか、こんなコメントを出しています。

 「日本維新の会の国会議員団よりも、維新の会自体の方が上位団体で格上…」

 こんな苦し紛れな発言が出てきていること自体、焦りを感じますね。

 日本維新の会と国会議員団との関係がどうなっているかはボクはあずかり知りませんが、明らかに言えることは、政治権力を持っているのは国会議員です。これからは、マスコミも維新の会にコメントを求める場合、橋下さんにではなく石原さんに訊くはずです。石原さんは国会議員であり、かつ党首ですから…。
 こうして、橋下さんの求心力は以前よりも落ちてくるはずです。だいたい相手が悪いですよ。石原さんでしょ。懐柔するには大物すぎます。

 でも、この力関係を逆転させる戦略はあるはずです。橋下さんは馬鹿ではありませんから、今回の出来事を反省材料にして、また何かやらかしてくれるでしょう。

 ボクなりにヒントを示唆すると、維新の会における橋下さんの求心力が弱くなってきたこと自体が、コインの裏から見ればチャンスなのです。

 橋下さんがどのくらい頭の切れる人か…。楽しみで目が離せません。