補償日数は「職工」の労働災害を対象として定められたものであり、その補償日数も政策的なものであるので特に合理的根拠は見出せないとの指摘がなされています。その補償日数を10で除した数字のパーセンテージを労働能力喪失率と定める自賠責保険の基準にも特に合理的根拠はないと思われます。

 ただ、そもそもある後遺障害の労働能力喪失率を定めること自体が非常に難しいものであるため、合理的根拠に基づかない基準により労働能力喪失率が定められていること自体はやむをえないと思われます。

 一方、判例は、

「損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから、被害者の職業と障害の具体的状況により、同表に基づく労働能力喪失率以上に収入の減少を生じる場合には、その収入減少率に照応する損害の賠償を請求できることはいうまでもない。」(最判昭和48年11月16日裁判集民事110号469頁)

として、自賠責保険における労働能力喪失率を参照しつつも、具体的に労働能力喪失率を判断しています。