皆さんこんにちは。
 前々回(5月8日)のブログでは、症状固定とはどういうものかを説明し、人損の損害は症状固定前の損害と症状固定後の損害とに大きく分けることができることを説明しました。
 (記事はこちら:損害の費目について

 今回は、症状固定前の損害を検討していきたいと思います。

 まず、前々回の復習です。症状固定とは、これ以上治療を継続しても改善が見込めない段階をいいます。そして、症状固定時に残っている障害は、後遺障害として症状固定後の損害として評価するということになります。

 このような症状固定という考え方からすれば、症状固定前の段階では病院に通院し治療を受けていることになります。そして、治療のためには治療費がかかるので、治療費が損害の費目としてあげられることになります。また、通院のためには交通費がかかりますので、交通費も損害の費目にあげられることになります。

 また、症状固定前の段階では病院に通院し治療を受けていることから、仕事ができない状態になっていることが予測されます。そうすると、交通事故がなければ働いてお金を稼ぐことができたのに、交通事故のためにお金を稼ぐことができなかったということになります。この損害は、仕事を休まざる得なくなったために生じた損害といえるので、休業損害といわれます。休業損害も損害の費目にあげられることになります。

 次に、症状固定前の段階では病院に入院したり、通院したりすることで治療を受けています。被害者は交通事故のため入院したり通院せざるを得なくなっており精神的な損害を受けていると評価できます。このような損害を慰謝するための金員は入通院慰謝料と呼ばれ、入通院慰謝料も損害の費目にあげられることになります。

 他にも症状固定前の損害として入院付添費、通院付添費、入院雑費等の損害の費目が考えられますが、一般的なものとして以上の治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料といった損害の費目が考えられます。症状固定前の損害の費目として以上のような費目があることを覚えておいて下さい。

 それでは、また。

弁護士 福永聡