こんにちは。
今回は、代車使用期間の相当性についてお話したいと思います。
代車使用の必要性が認められる場合でも、交通事故の被害者側の損害拡大防止義務の観点から、代車使用が認められる期間、つまり、代車料の請求が認められる期間は、現実に修理又は買替えをするまでに要した期間ではなく、修理又は買替えに要する「相当期間」に限られます。
この「相当期間」には、当然のことながら、修理や買替えそれ自体に要する期間が含まれます。修理等に要する期間は、車種、年式、修理すべき部位、破損状況等によってまちまちですが、大体1週間から2週間程度が一般的です。
また、修理又は買替えに要する期間のほか、個々の事案に応じた交渉期間、検討期間も「相当期間」に含まれることがあります。
例えば、加害者側の保険会社のアジャスター(自動車事故が起きた際、保険会社から委託を受けて自動車の損傷状態を調査し、修理費の認定を行う専門家のことをいいます。)が事故車を確認しに来ないため、修理に着手せずに待っていた期間については、基本的に、相当期間に含まれます。
また、加害者側の保険会社と修理方法について意見が対立し、修理に着手しなかった期間や、修理依頼を受けた修理業者と保険会社の間で、修理方法・内容について協議が行われ、その後協議内容に従い修理に着手するまでの期間についても、基本的に、「相当期間」に含まれます。
ただし、修理可能な事案で新車の買替えを要求して修理を拒んでいたような場合には、被害者側の損害拡大防止義務の観点から、この交渉期間は「相当期間」と認めない裁判例が相当数見受けられることから(例えば、名古屋地裁平成11年2月3日判決)、不幸にも被害に遭われた方は、注意が必要です。