皆様こんにちは。弁護士の菊田です。
今回は、慰謝料についてのお話です。
交通事故において、被害者が加害者に対して請求することが考えられる慰謝料としては、おおまかには、死亡慰謝料、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、物損に関連する慰謝料の4つが考えられます。
このうち、物損に関連する慰謝料は、原則として認められません。物に関しては、特別な事情のない限り修理費等の支払によって損害は填補され、精神的苦痛までは生じないと考えられているためです。もっとも、例えば非常に思い入れの強い物が損壊してしまったようなケースでは、物損に関連する慰謝料も認められる可能性があります。
物損に関連する慰謝料を除く3つについては、一応の目安となる基準があります。
死亡慰謝料については、死亡したのが一家の支柱であった場合は2800万円、母親または配偶者であった場合は2400万円、その他2000万円~2200万円、というのが一応の目安です。
傷害慰謝料は、入通院日数が基準となり、その日数によって20~30万円程度であったり、300万円程度であったりと幅があります。
後遺症慰謝料については、後遺障害の程度によって金額が変わってきます。一応の目安としては、第1級であれば2800万円、第14級であれば110万円という基準があります。なお、被害者が重度の後遺症を負ってしまった場合には、被害者の近親者からの慰謝料請求も認められる可能性があります。
ただし、これらはあくまで一応の目安であり、後遺障害の程度等、具体的な事情によって慰謝料額は増減します。その他にも、加害者に著しく不誠実な態度等がある場合や、被害者の親族が精神疾患に罹患してしまった場合等には、慰謝料の増額が認められる可能性があります。
このように、単に慰謝料といっても、様々な種類のものが存在します。交通事故の被害に遭われてしまった場合には、こういった慰謝料の支払いに漏れがないかという点も確認が必要になります。交通事故の被害者の方で、慰謝料額が少ないと感じられた方がおられましたら、一度ご相談下さい。