こんにちは。
今回は、代車の同等性(相当性)についてお話したいと思います。
例えば、交通事故の被害車両がポルシェやフェラーリ、ベントレー、ランボルギーニ等の高級外国車である場合、代車もこれと同ランクの自動車でなければならないか(同ランクの代車使用料が損害となるか)ということが、度々問題となります。
この点について、被害車両が国産車である場合には、同ランク又はそれ以下の国産車の使用料が損害となります。
これに対して、高級外国車の場合、同ランクの高級外国車を代車として使用する合理的必要性が認められる等の特別の事情がない限り、国産高級車を代車とすれば(1日当たり1万5000円~3万円前後の使用料で)足りるとするのが裁判例の大勢です。
例えば、被害車両がポルシェであり、被害者が代車としてジャガーを使用した事案において、裁判所は、
「(代車として)ジャガーのような高級外国車である必要性を認めるに足りる証拠はなく、国産高級車をもって足りるというべきであるから、単価は1日当たり2万円が相当である」
と判示しています(東京地裁平成22年1月28日判決)。
一方で、裁判例の中には、営業上の必要から高級外国車に乗ることが求められているといった特別の事情がある場合、同ランクの高級外国車を代車として使用することを認めたものもあります(東京地裁平成7年12月26日判決)。
このように、一部例外はあるものの、原則としては、高級外国車が被害車両の場合、高級国産車の限度で代車料が認められるに過ぎないのが裁判実務と言えるでしょう。裁判所がこのような考え方をとるのは、被害者がいわゆる損害拡大防止義務(加害者だけでなく、被害者も、損害の発生・拡大を最小限におさえる義務)を負担しているからであると考えられます。
以上より、被害者が被害車両と同ランクの高級外国車を代車として使用した場合、国産高級車の代車料を超える範囲の使用料については、被害者自身で負担しなければならなくなる可能性が高いということになりますので、要注意です。