先日、「保険会社が言ってくる、事故態様が自分の記憶と全く違っていて、納得できません。」という相談を受けました。

 この相談者の件では、相談者の記憶に基づいたものであれば、過失割合がこちらは0なのですが、保険会社の主張では、こちらに4割から5割の過失割合があることになります。

 本件では、不幸にも相談者は、事故当時スクーターに乗っていて、事故によりすぐに救急車で運ばれてしまい、実況見分の立会いを行っていないということでした。

 私は、この方の相談を聞いて、実況見分調書に誤りがあるのだろうと思い、すぐに実況見分調書等の刑事記録を取り寄せることにしました。
 なお、被害者から委任を受けた弁護士であれば、警察や検察庁に問い合わせて、諸手続きをすれば実況見分調書等を取り寄せることができます。

 刑事記録を取り寄せたところ、なんと、実況見分調書の内容もその他の刑事記録の内容も全て、相談者が述べたとおりでした。
 ただ、ほんの少し事故状況が複雑な感はしましたけど。

 結局、保険会社が、どこでどう勘違いしたのか、根拠なく、相談者に対し非常に不利になるような事故態様を示していただけという保険会社にとって、お粗末な事件となりました。

 過失相殺は、保険金の額に非常に大きな影響を与えます。
 そのため、保険会社との間で過失割合について争いになった場合、なかなか折り合いがつかず、被害者が泣き寝入りさせられているケースも多いのではと思料しています。

 十分な調査をしたうえで、納得いく解決を図るためには、専門家である弁護士の協力が不可欠ではないでしょうか。