今回は、外貌醜状に関する逸失利益です。とりわけ争いになることも多い、男性についての逸失利益が認められた裁判例をご紹介いたします。

 東京地裁平成13年8月22日判決は、予備校生(19歳・男性)が事故によって、顔部に12級の醜状障害を負った事案について、

「原告は、醜状障害の症状固定時には23歳、上記固定日には29歳という青年であり、瘢痕は化粧品で隠すことはできるものの、人と接する際には常に化粧品を使用しなければならないこと自体不自然なこと」

であることを理由に、

「男性といえども醜状痕によって希望する仕事への就職が制限されたり、就職しても営業成績が上がらなかったり、仕事の能率や意欲を低下させ、ひいては所得に影響を与えることは十分考えられ」

るとして、逸失利益の認定に外貌症状を考慮しております。

 このように、男性の場合であっても、醜状障害の程度や部位、職業、年齢等を具体的事情に考慮して、逸失利益が認められております。

 本裁判例では、被害者の年齢が若年であったこと、事故時には未就労の予備校生であり、将来の就職への影響力等が判断を左右したものといえます。

 醜状障害に関する逸失利益については、慎重な検討が必要であり、交渉が難航することが多いと思います。お困りの際はご相談ください。