今回は、交通事故の損害賠償として、真っ先に頭に浮かぶと思われる、治療費について話します。
交通事故で負傷した場合に要する治療費は、“必要かつ相当な範囲内”であれば原則実費全額が出ます。(過剰診療や不必要な高額診療等、必要性・相当性がないものは、支払われない可能性があります。)
しかし、治療費の支払いにおいて
① 症状固定後の治療費
② 整骨院、接骨院等のマッサージ費用等
について、しばしば問題になります。
症状固定後の治療費
症状固定とは、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態、つまり、その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態を言います。
原則的には、治療費は「症状固定日」までのもののみ損害賠償の対象となります。
現実状、症状固定後であってもリハビリや治療等が必要になることは頻繁にあるのですが、上述の通り、原則として症状固定後の治療費については損害賠償をすることができません。
但し、症状固定後の治療費であっても、傷害の症状の内容や程度、治療の必要性等を丁寧に立証することにより、リハビリテーション費用・手術費用・検査費用などが認められる場合もあります。
この点については、裁判上争いになることがよくありますので、いずれ判例等を紹介したいと思います。(重い後遺症や将来手術が必要なため、症状固定後の治療費について不安のある方は是非弁護士にご相談ください。)
整骨院、接骨院等のマッサージ費用等
交通事故でよく問題となるのは、整骨院、接骨院等の施術費です。
交通事故でむち打ちなった方は、マッサージを受けに、整骨院等に行かれる方が多いと思います。
しかし、保険会社や裁判所は、“フランクな言い方”をすれば、西洋医学には温かく東洋医学には冷たい傾向(印象)があります。
そのため、整骨院費等を長期間通っていると、当該治療は過剰診療である等として相当な治療費として認めてくれない場合がしばしばあります。
長期間整骨院等に通う必要がある場合は、病院(整形外科等)の医者から、整骨院等でマッサージ治療を受けた方がよいという診断書等を書いてもらい、医者からお墨付きをもらっておくのが良いと思います。