こんにちは。今回は、労災と自賠責の関係を基礎に、労災の資料開示についてお話ししたいと思います。

 交通事故に遭って労災を使用した場合、治療費(療養補償給付)は労災から支払われますが、慰謝料は支払われません。したがって、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は相手方に請求をすることになります(その他、休業損害(休業補償給付)の残額があるばあいは、かかる請求も忘れてはなりません)。

 通常、後遺障害申請(障害給付支給請求)を行う場合、労災は支給調整の必要から自賠責の判断結果が出るまで支払いを保留します。

 もっとも、近年は、相手方が自転車を利用しており自賠責に加入していない等、相手方の自賠責保険が使用できない場合も少なくありません。そのような場合には、自賠責に後遺障害申請を行うことが出来ないことになります。そこで、相手方には労災で認定された等級に基づいて、慰謝料等の請求を行っていくことになります。

 ここで、労災で認定された障害等級は、労基署から送られてくる「労働者災害補償保険年金給付等」という書面に記載されているだけで、認定の理由等は通知してもらえません。これでは、どのような判断で等級が認められたのか分からず、相手方と妥当な後遺障害等級の話合いを行うことが難しくなります。

 というのも、一般的に、局医が直接診察をする労災の方が自賠責よりも高い等級が認定されやすいといわれております。そこで、自賠責の判断を仰げない場合は労災の認定根拠となった資料を添付する必要があります。

 労災は60日以内でしたら審査請求ができ、その場合は認定理由が記載された書面を取得することが可能です。また、医療機関のカルテを取得したり、第三者行為災害調査復命書や労基職員の実地調査復命書を取寄せたりすることも必要になるでしょう。復命書の開示は労働局長宛てに、保有個人情報開示請求を行い、また、開示には時間がかかりますので、早めに手続きをされることをお勧めします。