1 自賠責保険の適用なし!
自転車は、車のように免許も必要なく、場所を選ばず気軽に利用できるので、老若男女問わずたくさんの人々に利用されています。ただ、その反面、自転車による交通事故には自賠法の適用がなく、運転者に幼児も含めた未成年者も多く含まれることから、事故をおこした加害者の資力が不十分な場合も多いです。
そこで、自転車による事故の賠償責任をカバーする保険について、簡単に見ておきましょう。
2 個人賠償責任保険を確認!
まず、加害者の損害賠償責任をカバーするものとして、「個人賠償責任保険」があります。これは、個人が日常生活において、他人の生命・身体・財産などに損害を生じさせ損害賠償責任を負うことになってしまった場合に、賠償責任を負った者の経済的負担をカバーするものです。
この個人賠償責任保険は、単体の保険である場合もありますが、自動車保険、火災保険、傷害保険に付帯されていたり、クレジットカードに付帯していたりする場合も多いです。
ですから、自転車事故の加害者となってしまった場合には、加入している保険の詳細な内容やクレジットカードの約款をチェックすることをお勧めします。
3 TSマーク付帯保険を確認!
また、「TSマーク付帯保険」というものもあります。これは個人賠償責任保険と傷害保険(加害者の資力が不十分であった場合に備えて、自己防衛のために被害者が加入する保険)の両者の機能を兼ね備えた自転車特有の保険です。
TS(Traffic Safety)マークとは、道路交通法規に適合した安全な普通自転車であることを示すマークで、財団法人日本交通管理技術協会が発行しているものです。全国に約6万人いる自転車安全整備士による整備を受け、法令に適合した安全な自転車であることを確認した際に、TSマークが貼付されます。なお、TSマークの付帯保険の保険期間は、法令に適合した安全な自転車であることが確認された日(点検整備日)から1年間となっていますので、年に1回以上の自転車点検が促進されています。
このTSマークには、補償内容の違いにより第一種(青色マーク)と第二種(赤色マーク)とがあります。例えば、傷害補償の場合、事故から180日以内の死亡・重度後遺障害(1級から4級)であれば、青色マークであれば30万円、赤色マークであれば100万円が支給されます。賠償責任補償については、相手方の死亡・重度後遺障害(1級から7級)で、青色マークであれば1000万円、赤色マークであれば2000万円までが補償の対象となっています。赤色マークか青色マークかは、自転車整備業者(自転車屋さん)がどちらの色のTSマークを扱っているかによって異なります。TSマークの加入に際して保険料等はかかりませんので(自動車の整備代金が必要)、賠償額の多い赤色マークが推奨されています。
弁護士 細田大貴