はじめに
交通事故により受傷し、仕事を休業した場合には、受傷によって休業したことによる現実の収入減を休業損害として請求することができます。また、現実に収入減がなくても、有給休暇を使用した場合は休業損害として請求することができます。
退職した場合
事故による受傷した場合、休業するにとどまらず、受傷の影響により従来のように仕事ができなくなったりしたことが理由で会社を退職されるケースがあります。
このような場合、事故と退職との間に相当因果関係が認められれば、事故前の給与を基礎として休業損害が認められます。(「相当因果関係」とはあれなければこれなしという「因果関係」とは異なり、損害賠償の範囲を制限する法概念です。原因と因果関係が認められる結果(損害)のうち、損害賠償の範囲に含まれる結果(損害)については、原因行為と相当因果関係があるとされます。)
実際には休業していないので、いつまで休養損害を認めるかは事案ごとに判断されますが、後遺障害が残らなかった事案で治療後3カ月程度まで休業損害を認めた裁判例や(東京地判平14年5月28日交民35・3・706)、後遺障害が残った事案で症状固定までの期間について休業損害が認めた裁判例(東京地判平成14年11月26日交民35・6・1568)、治療が一区切りついた日まで休業損害を認めた裁判例等があります。