今回は、休損損害、なかでも代替労働力を利用した場合についての裁判例をご紹介いたします。

 この問題は、典型的には、交通事故の影響によって事故以前の労働を行えなくなったために、なお営業を維持すべく、新たに従業員を増やしたりすることで、減収を免れた場合に、当該人件費等が損害として認められるかといった形で現れます。

 横浜地裁平成15年3月7日判決は、1人で営業している歯科医師が、交通事故の影響によって、全ての患者に対する診療行為を行えなくなってしまった事案について、一部本人の代わりに診療を行った他の医師に対して支払った給与相当額を休業損害として認めました。

 代替労働力の利用を余儀なくされた場合には、代替労働力を利用する必要性を、交通事故の影響・職務内容との関係において主張しなくてはなりませんし、必要性が認められるとしても、当該代替労働者に支払った金額が相当かどうかにつき、慎重な検討が必要であり、交渉が難航することが多いと思います。

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