1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 今日は、損害賠償請求権の時効について取り上げたいと思います。
 皆様も「時効」という言葉はよく聞かれると思います。例えば、窃盗など刑事事件の時効を思いつかれる方も多いと思います。
 民事事件においても、もちろん時効は存在するので、交通事故でいえば、被害者の方は、加害者に対する損害賠償請求権が時効にかからないように注意しなければなりません。

2.時効について考え方

 民事上、加害者に対する損害賠償請求権は、「被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年間権利行使しないとき」に消滅します(民法724条)。
 ここでの「損害を知ったとき」とは、負傷や物損などの損害の発生を知ることを意味するとされます。通常は、交通事故が発生した日がこれに当たるものといえそうです。
 ただし、事故当時予見できなかった後遺障害が後になって発生したようなケースであれば、症状固定の日や、後遺障害が顕在化した日を「損害を知ったとき」と解されることもあります。
 なお、自賠責法上も、損害賠償請求権の時効については、「3年を経過したときは、時効によって消滅する。」と規定されています(自賠法19条)。